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対数チャートと通常チャート:長期チャートはなぜ対数目盛りで見るのか

対数目盛りは同じ比率を同じ高さで描きます。9年分のビットコインのチャートが目盛りによってどう変わるのか。

📚 チャート分析をはじめから正しく · 3/33· ⏱ 読了目安 3分 ·情報更新 2026-09-23

📋 基本情報

通常目盛り
同じ金額の変化が同じ高さで描かれる
対数目盛り
同じ比率の変化が同じ高さで描かれる
実測
BTC月足終値の−75%・−73%の下落は、対数では近い高さになる
注意
同じ2点を結んだトレンドラインも、目盛りごとに別の線になる

二つの目盛り

価格チャートの縦軸の描き方は二つあります。通常(算術)目盛りは、同じ金額の差を同じ高さで描きます。1万から2万までの高さと、10万から11万までの高さが同じです。対数目盛りは、同じ比率を同じ高さで描きます。1万から2万までと5万から10万までは、どちらも2倍なので高さが同じになり、1・2・4・8のように倍々で増える目盛り線が等しい間隔で並びます。ほとんどのチャートソフトは通常目盛りが既定で、設定で対数目盛りに切り替えられます。

同じ2倍、違う高さ

10から20に上がることと、1,000から2,000に上がることは、どちらも2倍、つまり+100%の上昇です。持っているお金が2倍になったことは同じですが、通常目盛りでは後者が前者の100倍の高さで描かれます。対数目盛りでは二つの動きの高さが同じです。下落も同様で、半値(−50%)と2倍(+100%)は対数目盛りでは同じ高さになり、半値になった価格が元に戻るには2倍に上がらなければならないという事実が、そのまま図に表れます。何十倍も動いた資産を一つの画面に収めるときに対数目盛りを使うのは、このためです。

ビットコインの9年を通常目盛りで見ると

下の図は、バイナンスのBTCUSDTの確定した月足終値109本(2017年8月〜2026年8月)を通常目盛りで描いたものです。2017年12月の13,716 USDTから2019年1月の3,434 USDTまでの下落は−75%で、2021年10月の61,300 USDTから2022年12月の16,542 USDTまでの下落は−73%でした。比率ではほぼ同じ下落なのに、最も低い終値から最も高い終値までの全体の幅と比べると、前の下落は約9%、後の下落は約40%の高さで描かれます。2017〜2020年の動きは底に押しつぶされ、ほとんど平らに見えます。

2019202120232025−75%−73%線の下通常目盛り8万4万2万1万
バイナンス BTCUSDT 月足終値、2017-08〜2026-08(確定した109か月)。通常(算術)目盛り。横の点線は1万・2万・4万・8万 USDT、二つの点は2019-01と2022-12の終値で、この2点を結んだ線を右端まで延ばしました。「線の下」はこの線より低く確定した月(2020-03)です。−75%・−73%は直前の高値の終値(2017-12、2021-10)から測った下落率です。

同じデータを対数目盛りで

同じ月足終値を対数目盛りで描くと、二度の大きな下落が近い高さに見えます。全体の幅と比べて、前の下落は約39%、後の下落は約37%です。横の点線の1万・2万・4万・8万 USDTは、通常目盛りでは下のほうに固まっていましたが、対数目盛りでは等しい間隔に広がります。2倍になるたびに同じ高さだけ上がるということです。何年にもわたるビットコインのチャートを対数目盛りで見るのは、初期の動きも今の動きと同じ物差しで比べられるからです。

2019202120232025−75%−73%線の下対数目盛り8万4万2万1万
バイナンス BTCUSDT 月足終値、2017-08〜2026-08(確定した109か月)。対数目盛り。横の点線は1万・2万・4万・8万 USDT、二つの点は2019-01と2022-12の終値で、この2点を結んだ線を右端まで延ばしました。「線の下」はこの線より低く確定した月(2026-06・07)です。−75%・−73%は直前の高値の終値(2017-12、2021-10)から測った下落率です。

トレンドラインは目盛りによって違う線になる

二つの図の点は2019年1月と2022年12月の月足終値で、この2点を結んだ線を右端まで延ばしました。通常目盛りの直線は毎月同じ金額ずつ上がる線で、対数目盛りの直線は毎月同じ比率で上がる線なので、同じ2点を結んでも別々の線になります。通常目盛りでは2020年3月の終値6,410 USDTが線の下に沈みましたが、対数目盛りでは線の上でした。逆に、2026年6月・7月の終値は対数目盛りの線の下でしたが、通常目盛りの線よりはずっと上でした。同じチャートでも、目盛りによって「トレンドライン割れ」という判断が分かれることがあります。

短い期間では差が小さい

数日から数週間のチャートのように、価格が数十%の範囲で動く区間では、二つの目盛りの差は小さくなります。たとえば100から110のあいだを描くとき、対数目盛りでちょうど真ん中に来る価格は約104.9で、通常目盛りでは105です。差が大きくなるのは、価格が何倍も動いた長い期間を一つの画面に収めるときです。また、目盛りは描き方にすぎないので、移動平均やRSIのような指標の値そのものは変わりません。変わるのは、手で引く線と、目で感じる値動きの大きさです。

このサイトの長期ツールと目盛り

ビットコイン長期指標ツールは、価格と200週・200日移動平均線を対数チャートに描きます。暗号資産の積立シミュレーターでも価格チャートを対数目盛りに切り替え、長い期間の価格変化を比率で比べられます。ビットコイン月別リターンのツールは月ごとの値動きを金額ではなく%で比べますが、同じ比率を同じ大きさで見るという点で、対数目盛りと同じ考え方です。長い期間のチャートを見るときは、いま見ているチャートがどちらの目盛りなのかをまず確かめる習慣が役に立ちます。

対数目盛りが語らないこと

対数目盛りの上の直線は、これまで一定の比率で動いてきたという要約にすぎず、これからもその比率が続くという根拠ではありません。対数チャートに引いた長いトレンドラインや曲線の帯を先に延ばし、目標価格のように使うことがありますが、これは過去の成長率が保たれるという仮定を図にしたものです。この記事の図でも、2019〜2022年の二つの安値を結んで先に延ばした対数目盛りの直線の下に、2026年6月と7月の終値が沈みました。また対数目盛りは0や負の値を描けないので、リターンや資金調達率(ファンディングレート)のように0をはさんで行き来する値には使いません。

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